教科書:上田誠也著「地球・海と大陸のダイナミズム」(NHK出版) 870円
文献
地球の現在の半径をRとすると、
0.1-0.3R |
鉄とケイ酸塩の混合物(レイヤーなし) |
0.2R〜 |
衝突脱ガス(CO2, H2O, N2) |
0.3-0.4R |
大気圏の形成(水素・ヘリウム+衝突脱ガス) |
0.4-0.5R |
温室効果・重力エネルギーの解放で |
0.6-0.7R |
鉄によるコアの形成 |
0.9R |
最初の雨 |
1.0R |
大気、海、地殻、マントル、コア |
46億年前 |
原始地球:海、海洋地殻のみが存在 |
43億年前 |
プルームテクトニクス |
40億年前 |
プレートテクトニクスの始まり |
25億年前 |
成長がゆっくりになる |
19億年前 |
超大陸ローレンシア形成 |
現在 |
最後の超大陸パンゲアの分裂が進行中 |
2億年後 |
新たな超大陸がアジアを中心に |
文献
演習問題
参考文献
「海底物理」 東海大学出版会(絶版)
「海洋調査フロンティア」海洋調査技術学会(希望者は木下まで;4000円)
「地球観測ハンドブック」友田好文編
停船観測:海底に機器を下ろす;精度あるが非効率
装置名 |
測定項目 |
目的 |
温度勾配+熱伝導率 |
地殻の熱構造、熱水循環の様式 | |
柱状採泥器(ピストンコアラー) |
柱状試料採取 |
層序学、年代学、古地磁気学 |
航走観測:船を走らせながら測定;効率いいが分解能低い
装置名 |
測定項目 |
目的 |
PDR |
音響測深 |
海底地形を知る |
SBP |
3.5kHz音波探査 |
海底表層の堆積構造を知る |
"SEABEAM" |
海底地形 |
海底地形を2次元的に知る |
エアガン-ストリーマ |
反射法地震探査 |
堆積物(浅部)の速度構造 |
エアガン-OBS |
屈折法地震探査 |
モホ面までの地殻速度構造 |
プロトン磁力計 |
全磁力 |
地磁気の縞模様;地下磁気基盤構造 |
三成分磁力計 |
磁場ベクトル |
地磁気の縞模様;地下磁気基盤構造 |
船上重力計 |
重力加速度 |
地下密度構造 |
ドレッジ |
岩石試料採取 |
岩石の採取(火山岩など) |
海底設置型:長期観測
装置名 |
測定項目 |
目的 |
海底地震計 |
自然・人工地震 |
地震活動・堆積構造・モホの深さ |
海底電位磁力計 |
電場・磁場 |
地下電気伝導度構造 |
長期熱流量測定装置 |
地殻熱流量 |
熱流量の時間変動・熱拡散率の推定 |
深海曳航型:船を走らせながら測定;海底付近の詳細な構造
装置名 |
測定項目 |
目的 |
IZANAGI(日本) |
散乱強度 |
底質 |
TOBI(イギリス) |
散乱強度・地磁気他 |
底質・磁場 |
TAMU2(アメリカ) |
海底地形・散乱強度 |
詳細地形・底質 |
PASISAR(フランス) |
海底地形・散乱強度・反射法地震探査 |
詳細地形・底質・堆積構造 |
Gloria(アメリカ) |
散乱強度 |
底質 |
直接観測:潜水船・ROVによる観測 細かいスケールでの観察・測定
潜水船・ROV名 |
所有国 |
最大深度 |
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(有人) |
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しんかい2000 |
日本 |
2000 |
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日本 |
6500 |
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Alvin |
アメリカ |
4000 |
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Pices V |
アメリカ |
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SEACLIFF |
アメリカ |
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フランス |
6000 |
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Mir |
ロシア |
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(無人)ROV |
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ドルフィン3K |
日本 |
3000 |
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日本 |
10000 |
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ROPOS |
カナダ |
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Argo-Jason |
アメリカ |
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大陸移動の原動力として、マントルの対流を考えた(ホームズ、1931)
-> マントルの断面図を示す
マントルというベルトコンベアに乗って、大陸が運ばれるというモデル
あくまでもモデルであり、その証拠があるわけではなかった
マントル物質は岩石であるので、地震のような短い現象には固体(弾性体)として振る舞う。一方、例えば水飴のような物体を考えると、長時間の間には流動して形を保てない。マントルについても同様に、何億年というスケールでは自由に流動できる(粘性体)。
このように弾性体と粘性体としての性質を合わせ持ったものを粘弾性といい、これを扱う学問をレオロジーという。氷も粘弾性を持つ。
マントルについては、弾性・粘性の境となる時間は5000年である。対流の起こり安さを表す尺度にレーリー数があり、これがある値(臨界値)以上になると対流が起こる。
レーリー数 〜 密度 * 重力加速度*体積膨張率 * 温度差*マントル層厚N/ 粘性率 / 熱拡散率
マントルについては十分この条件をクリアしている。
Quiz
1. マントル物質が対流条件を満たしているかどうかは、レーリー数が臨界値以上であるかどうかでチェックできる。マントル物質についてレーリー数を計算し、これが臨界値以上であるかどうかを検討せよ。また身近な物質(水飴、お湯など)についても同様のチェックを行ってみよ。計算にあたっては次元をチェックすること。
ただし、臨界レーリー数は657.5とする。またマントル物質のパラメータは以下の通り:
パラメータ |
値 |
単位 |
密度 |
4000 |
kg/m3 |
重力加速度 |
10 |
m/s |
体積膨張率 |
3*10-5 |
K-1 |
マントル層厚 |
700 |
km |
N |
3 |
- |
粘性率 |
1021 |
Pa s |
熱拡散率 |
10-6 |
m2/s |
温度差 |
1500 |
K |
今から1万年前に氷河期が終わり、その後元々氷河のあった場所が隆起した現象。
その時定数(緩和時間)が5000年。
---> スカンジナビアのOHP
ヘス(1962)、ディーツ(1961)が提唱
---> 白黒OHP
海洋観測が行われた結果出てきた説である 説得力あり!
海底でマントルの熱い物質が海嶺で上昇して「海底」を新たに作り、これが海溝で「消費」されることにより、海底の面積は一定に保たれる。海底の生産場所と消費場所が、下部のマントル対流のパターンを表す、と考えられた(実は必ずしもそうでない)。
「証拠」
ついに決定的データ現る!!
海底の磁場を測定することにより、そこでの年齢が決まってきた
残留磁化の意義:過去の磁場の化石である 過去を再現する手がかり
火山岩の場合:
マグマとして溶けている時は、温度は1200度以上
この時は中の磁性鉱物は熱的に活発で、外の地球磁場と無関係に運動
海底に噴出して冷える
約500度(ブロッキング温度)を境として、中の磁性鉱物はその時の地球磁場の方向を向いたまま固定
「熱残留磁化」 再加熱されない限り非常に安定
火山岩生成時の地球磁場を記憶している
堆積岩の場合:略
( 外から磁場をかけると、その試料(岩石)は磁化を帯びる。磁場を取り去っても、その磁化は0にはならない(ヒステリシス)。残った磁化を、飽和残留磁化という。)
火山岩の熱残留磁化測定
磁北極の位置が現在とほぼ同じもの・逆のものに分かれる 中間なし
地球磁場がときどき(数十万年程度の周期で)逆転している!
海嶺を横断する方向の地磁気測定により、磁気異常が強弱交互に現れることが分かった。これを、上記「残留磁化」「地磁気逆転」を使って「海洋底拡大説」として説明したものである。
海嶺では岩石はいったん溶けて、磁化がリセットされる
海嶺で冷えて新たに海底地殻を作るとき、その時の地球磁場方向に熱残留磁化を持つ
できた海底は左右に拡がり、後から新しい海底が次々と形成される。
海底には、その時々の地球磁場を記録したものが残る。これは、地球磁場の逆転に対応して、交互に正と逆が現れる。これが地磁気縞模様である!
ヴァイン=マシューズ理論の出現で、海洋底は海嶺で生まれ、横に移動していることがはっきりした。地磁気縞模様によりその拡大速度も分かってきた。ここではプレートの概念を説明し、各要素の役割を解説する。
地球の表面を10枚程度の固い「板=球殻」に分け、これらの球殻が互いに動きあっている。それぞれの球殻を「プレート」と呼ぶ。
プレート内部では基本的に何も起こらない。
プレートの境界でいろいろな地質現象が起こる。
プレート境界3種
発散型=海嶺Ridge |
プレートの生産場所 |
収束型=海溝Tranch |
プレートの消費場所 |
横ずれ型=トランスフォーム断層 |
プレートどうしのすれ違い |
*プレートという言葉ば単なる概念であり、ここでは「無限に固い球殻」という以外の意味はない。物理的・地学的にプレートが何を意味するか、は次回に解説する。
プレート境界は断層運動と連想して考えられる。
正断層:張力が働いている時にできるもの
ここで起こる地震は張力型である
逆断層:圧縮力が働いている時にできるもの
ここで起こる地震は張力型である
水平横ずれ断層:剪断応力が働いている時にできるもの
ここで起こる地震は横ずれ型(striku-skip)である
*横ずれ断層では、その端で物質の過不足が生じる。この結果、Pull-apart basinというものが形成されたりする。
プレート境界 |
断層の形態 |
応力場 |
発散型(海嶺) |
正断層 |
張力 |
収束型(海溝) |
逆断層 |
圧縮力 |
横ずれ型(TF断層) |
横ずれ断層 |
剪断応力 |
海洋底に存在する横ずれ断層(長さ1000kmにも及ぶ)の存在
OHPで見せる(海底地形)
端では物質の過不足がない!
地震活動もない
海嶺を中心として左右に伸びている
--> 普通の横ずれ断層ではない!
球面上の図形の移動は、球面上のある点(オイラー極)のまわりの回転として表される(オイラーの定理)。従って、大陸同士の相対運動は、このオイラー極と回転角を決めれば一意に決定されることになる。
TF断層の走向は、プレートの運動方向そのものであるべきだ。(もしそうでなければ、TF断層のところで物質の過不足が生じる)。つまり、TFの方向は、そのプレートのオイラー極を北極とした等緯度線の小円の一部になっているはずだ。
従って、TFに直交する線を各TF毎に書けば、それらは一点で交わるべきだ。何故ならこの直交線はこのオイラー極を北極とする経線と考えられるからである。経線は北極で交わるのは自明。
これを発展させると、オイラー極を北極としたメルカトル図法の地図を書けば、TFは水平になるべきだ、と考えられる。 OHP
3つのプレートどうしが交わるところ
=3つのプレート境界が交わるところ
RRR
TTT
これらの幾何学的考察で、北米の地磁気模様から過去のプレート運動を再現することに成功した。特に海嶺の沈み込みの発見?は画期的であった。
TFなどから求められるのはあくまでもプレートの相対運動である
地球そのものに対するプレートの動き(といってもすべてのものは動いているのだが)をプレートの絶対運動と呼ぶ
実際にはマントル深部に対する運動、として考える
ホットスポット OHP
ハワイ諸島-天皇海山列は、太平洋プレートの上に転々と列をなしているように見える。さらに、現在活動しているのは一番東にあるハワイ島のキラウエアのみであり、西の島は活動していない。また西に行くと陸上の島としてでなく海山になってしまう。OHPでみると、キラウエアからの距離が長いほどその島の年代が古くなっている(それも直線的に)。またこのほかの太平洋上の海山列は互いに平行になってくの字をかいている。
これらは、マントル深部に固定した熱源からマグマが安定して供給されていて、その上をプレートが動くために火山列ができるのだ、と考えることができる(モーガン)。
このような、いわば地球に固定した火山をホットスポットと呼ぶ。HSの軌跡は、従ってプレートの絶対運動を示していると考えることができるだろう。
くの字になっているのは、太平洋プレートがその運動方向を変えたためだと考えられる。
またハワイ諸島の岩石の年代が距離と共に直線的に増加するのは、太平洋プレートの絶対運動がほぼ等速度運動をしていることを示している。
プレートテクトニクス理論では、プレートはとにかく無限に固い板(球殻)で、それ自体は内部変形しない、と考える。つまりその厚さとか、物理的イメージは考えなかった。
従って、実際の地球の物質とプレートを対応させる必要がある。
地球の構造(復習)